イチローから見る身体論

イチローが開幕二戦目にして三安打を打ちました。驚くようなことではないですが、四月に彼が打ち始めると、「新しい一年の始まりだ」と彼がメジャーに渡ってから思う様になりました。年間を通しての彼の身体意識・身体操作の変遷を写真を通して追いかけて行くのがもっぱらの日課です。
八月には北京オリンピックが行われます。一流のアスリート達がしのぎを削るエキサイティングな毎日ですが、僕に取っては彼らの身体の繰り方を研究することは同じくらいエキサイティングなことです。
年を追うごとに、スポーツ競技は激戦化の一途を辿っています。時には100分の1秒を争って順位を決めます。この主要な原因は、「情報の共有」にあると思います。良い記録を残した人間のトレーニングを世界中で踏襲していく。そして、例えば「陸上選手っぽい」体つきに多くの競技者が近づいていきます。その結果、競技全体の底上げはなされ、激戦化します。平行して、同じような怪我が増えて行きます。ただ「金メダル」は、「同じトレーニング」と「同じ怪我」との戦いの果てにあるかと言えばどうやら違う様です。各界の「金メダリスト」たちを見渡すと「別格」の体つきに気づきます。それは筋力の反復トレーニングだけでは決して得られない、身体意識の発達によるものだと思います。
イチロー、マイケル・ジョーダン、ジネディーヌ・ジダン、カール・ルイス、マイケル・ジョンソン、野口みずき、浅田真央、アーノルド・パーマー、タイガー・ウッズ、武豊、ヒクソン・グレイシー、双葉山、千代の富士、植芝盛平。各々、その肢体を見ただけで、その人と分かります。
彼らに共通しているところは、筋力はあるけれど、無駄な筋肉がなく、体が緩みきっているということではないかと思います。それはイチローが「筋肉を付けずに筋力を上げるトレーニング」をしていることからも裏付けられるのではないでしょうか。体を緩めるというのは、「体に力を入れる」動作とは比べ物にならないほど大変な動作です。それは、自然と力が入ってしまっている体の部位を意識し、筋繊維の一本一本にまで意識を発達させなければならない作業だからです。世界中で人気のヨガはそのために非常に優れたトレーニングですし、甲野善紀氏の古武術研究からスタートした古武術ブームや、高岡英夫氏の身体意識論の隆盛も、「ゆるむ」ということの重要さを意識している人たちが少なからず増えて来たからではないかと思います。
イチローは圧倒的な記録を残し続けてなお、毎年バッティングフォームを改良し、様々な気付きを得ながらある確信に少しずつ近づいている様に思います。それは終わりなき旅です。同じトレーニングをして、同じ体付きや同じ動きになることは、終わり無き旅にゴールを定め、進歩を止め、現状に居座ることだと思います。
「常識の打破」はスポーツにしろ、研究にしろ、全ての分野において、とるべき第一歩だと思います。
2008年のイチローの「常識」への挑戦はどのようなものになるのでしょうか。
今から楽しみで仕方がありません。
P.S.イチロースペシャル
ひょんなことからお世話になったきむにーさんがアップしてくれています。
http://www.youtube.com/watch?v=EMIRnTPf6pU&feature=PlayList&p=CFEEEEFC9A7FC066&index=0
彼のブログもどうぞ。
http://blog.livedoor.jp/kimmax/




















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